ロ包 ロ孝 2
「三郎! そっちはどうだった」

「いや雷児さん、駄目です」

 ここはドームイン東京。雷児他ティーファミリー年少部の面々が『超素質』の捜索に当たっていた。

「クッソォォォ! この機会を逃したら次は無いかも知れないんだぞ?」

 雷児達は偶然、またあの声を聞いた。今回もすぐに調べに走ったのだが、肝心の声の主は突き止められずにいた。

「晋(シン)君、ユウレイ、敦(アッ)ちゃん! お前らは……?」

「俺達は手ぶらっすよ、ねぇ晋君」

「ああ、駄目だったな」

 晋と敦は顔を見合せ、肩を落とした。

「へへっ、土産物屋の姉ちゃんが見たって言ってましたさ」

 顔色が生白く、痩せギスで頬のこけている彼が、目撃情報を入手していた。

「なんだって? それは本当かっ! ユウレイ、何か解ったのか」

「へへっ、お手柄でやしょう? それがでやすねぇ……」

 ユウレイが語った所に依ると、その声の主は最近良くこの界隈に現れているという事だ。

「それでどうやら顔がね、問題なんでさ。ヘヘッ」

 一同はユウレイの周りを囲んで、彼の話しに耳を傾ける。

「なんだよユウレイ、勿体振るなよ」

 ユウレイはまた「ヘヘッ」と笑って言った。

「そいつ、それがなんとボスにそっくりらしいんでさ。
 でもからきし弱っちくて、いつも墨刀やらそこいらのチンピラ共にちょっかい出されてるみたいなんで……」

「そうか。それは益々好都合だ」

 雷児は思い当たる所が有るのか、深く頷きながら聞いている。

「でもユウレイ。ボスに似てるってそれは、確かな情報なのか? ボスが素顔を一般に曝す事は滅多に無いんだぞ?」

「へへぇ、雷児さん。そんな事言ってもいいんですかい?」

 雷児は身体を擦り付けんがばかりに自分の顔を見上げてくるユウレイに、何故か言い様もない威圧感を感じていた。

「なんだよお前。なにを握ってやがる」

「へへぇ。ネタ元の姉ちゃんですが、仁美さんですぜ? 最近土産物屋で働き出したの、雷児さん知らないんですかい?」


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