ロ包 ロ孝 2
「なっ! 何するんですかっ!」

「ハァッ、ハァッ……だって待てって言っても逃げるんだもんよ」

 息の続く限り【在】を発していた雷児は、息も絶え絶えになって答えた。


───────


「……で、俺があんたらの安全を保証する。こいつらは2度とあんたらには手出ししない。お前ら、解ったか!」

 雷児が急降下した場所に当たりを付けてやって来た仲間達は、仕方なさそうに承諾した。

「はぁい」「解りましたぁ」「了解でぇす」

「随分と気の無い返事だなぁお前ら。この人の声があの声だって事が、まだ解らねぇのか!」

 雷児は顎をしゃくって2人を指し示す。

「え? もしかするとコイツが……」

 そして敦が大声の主を覗き込む。

「!……ぼ、ボスそっくりっす!」

「そうだろ? 俺もそうだと思ったんだよ」

 三郎がそう言うが、すかさず晋が割って入る。

「バカ野郎! 俺が最初に言ったんだぜ? なぁ、雷児ぃ?」

「バカとは何だよ、バカとは! いくら晋君でも事と次第に依っちゃあ……」

 今にも掴み合いの喧嘩が起こりそうな雲行きだ。

「誰が最初でも関係ねぇ! これはみんなの手柄だ。……なぁあんた、頼みが有るんだが……」

 雷児は大声の主に向かって語り掛ける。

「私は吉村昭宏と言います。こいつは田野倉純、あと他の仲間2人と合わせて4人で『何でも屋』をやっています」

 吉村は物怖じもせず、雷児に向き直るとそう言った。

「ああ、あんたらとか言って悪かった。じゃあ吉村さんには悪いんだが、俺は田野倉さんに用が有るんだ。でね?」

 雷児はしゃがみ込むともう1度田野倉に語り掛けた。

「私達が身分を明かしたんですから、あなた方もそうするべきでは?」「猿! 調子に乗るんじゃねぇぞ!」「うるさい! 黙ってろ! ああすまない。こいつら血の気が多過ぎて」

「……あのぉ……」

 やっと口を開いた田野倉に喰い付くような勢いで雷児が聞く。

「ななな何か?」

「もう逃げませんから……足の縄、解いてくれませんか?」


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