ロ包 ロ孝 2
「はもっ、鴨下先生」
やっとそう絞り出した林へ、額の汗を拭おうともせずに鴨下は振り返った。
「はい、なんですか?」
「も、もう少し。ほんの少しでいいんですが、優しくは出来ない物なんでしょうかね?」
途端に破顔した彼女は、キラキラした笑顔で言ってのける。
「話に聞けば林さんはかの有名なブルー・タスクのリーダーだって言うじゃないですか! その逸材を錆びれさせてしまったらそれこそリハビリ師の名折れ。
ここは全っ力で行かせて貰いますよ?」
最早これまで。彼女は手を緩める気など更々ないらしい。林は軽く身震いして言った。
「ぜ、『全っ力』って……。そこ迄力入れなくても……ぅぁっ、ぅぁっ、うぎゃぁぁぁああっ!」
単なる日常生活に支障を来さない程度のリハビリでは意味が無い。また再び、勇猛果敢に数々のミッションをこなして行く為に林は、アスリート以上の身体能力を取り戻さねばならない。
「林さん、民権奪還の為です。辛いですけど一緒に頑張りましょう!」
鴨下は心を鬼にして、PT師としての全能力を林に注ぎ込む決意をしていた。
「フンフンフンッ♪ どぉ? ミッツィー、頑張ってるぅ?」
そんな中、能天気に鼻歌を歌いながら野木村がやって来た。
「畜生、ノギちゃん。見せ物じゃねぇぞ!」
すると野木村の陰から姿を現したサングラスの男が言う。
「なんだ林。見せ物じゃなかったらなんだ? かのブルー・タスクのリーダーが女性相手に情けない声を上げているなんて、とんだ余興じゃないか。はっはっはっ」
「こ、コマンダー! いつもわざわざすいませんっ」
実行部隊の上級指揮官である清水は、事有る毎に林の様子を窺いに来ていた。
「鴨下先生の言う事を良く聞いて、しっかり精進するんだぞ。先生、こいつの事は頼みます。では」
「はっ、承知致しました」「はぁい。お任せ下さいぃ、ご馳走さまぁ」
ケーキの箱をプラプラと振って控え室に消えて行った清水に、少し芝居がかった声で鴨下は言った。
そして林に向き直ると満面の笑みを浮かべながら熾烈なリハビリを施し始める。
やっとそう絞り出した林へ、額の汗を拭おうともせずに鴨下は振り返った。
「はい、なんですか?」
「も、もう少し。ほんの少しでいいんですが、優しくは出来ない物なんでしょうかね?」
途端に破顔した彼女は、キラキラした笑顔で言ってのける。
「話に聞けば林さんはかの有名なブルー・タスクのリーダーだって言うじゃないですか! その逸材を錆びれさせてしまったらそれこそリハビリ師の名折れ。
ここは全っ力で行かせて貰いますよ?」
最早これまで。彼女は手を緩める気など更々ないらしい。林は軽く身震いして言った。
「ぜ、『全っ力』って……。そこ迄力入れなくても……ぅぁっ、ぅぁっ、うぎゃぁぁぁああっ!」
単なる日常生活に支障を来さない程度のリハビリでは意味が無い。また再び、勇猛果敢に数々のミッションをこなして行く為に林は、アスリート以上の身体能力を取り戻さねばならない。
「林さん、民権奪還の為です。辛いですけど一緒に頑張りましょう!」
鴨下は心を鬼にして、PT師としての全能力を林に注ぎ込む決意をしていた。
「フンフンフンッ♪ どぉ? ミッツィー、頑張ってるぅ?」
そんな中、能天気に鼻歌を歌いながら野木村がやって来た。
「畜生、ノギちゃん。見せ物じゃねぇぞ!」
すると野木村の陰から姿を現したサングラスの男が言う。
「なんだ林。見せ物じゃなかったらなんだ? かのブルー・タスクのリーダーが女性相手に情けない声を上げているなんて、とんだ余興じゃないか。はっはっはっ」
「こ、コマンダー! いつもわざわざすいませんっ」
実行部隊の上級指揮官である清水は、事有る毎に林の様子を窺いに来ていた。
「鴨下先生の言う事を良く聞いて、しっかり精進するんだぞ。先生、こいつの事は頼みます。では」
「はっ、承知致しました」「はぁい。お任せ下さいぃ、ご馳走さまぁ」
ケーキの箱をプラプラと振って控え室に消えて行った清水に、少し芝居がかった声で鴨下は言った。
そして林に向き直ると満面の笑みを浮かべながら熾烈なリハビリを施し始める。