ロ包 ロ孝 2
 地下の広大な空間の更に下の部分に、新たなる巨大空間を作るのは莫大な費用と建造迄の時間が掛かる。だがその上っ面を削るだけなら、施設の解体費用に上乗せすれば何とか帳簿上の折り合いも付く。

 日本政府はそうしてセンターコア・モノリスを招致したのではないかという推測だった。

「とにかく今度の侵入は一筋縄では行かない筈。そこにセンターコア・モノリスが有るのならば余計だ。
 何せ1回は我々の侵入を許しているんだからな」

 林は集まった面々を見回して言う。

「余程気合いを入れて掛からないと、命を落とす事にもなり兼ねない」

 今も警備がさして変わっていないとすれば、あそこは単なる農業施設なのだろう。

しかしセンターコア・モノリスを擁しているとなれば、現在は何人たりとも侵入を許さない、鉄壁の布陣を引いてきている筈だ。

 網岡山に有ったニュートリノ検出装置の設計図を元に軍部が予想した図面を見ながら林は更に続けた。

「斜行エレベーターで300m程下がると最深部に到達する。そこから更に下層へ降りるルートを発見しなければならない……新たな侵入を警戒してエレベーターシャフト内に迎撃用の自動砲搭が設置されていたとしたら、この前みたいには行かないよな」

「あそこは傾斜角が半端じゃ無いし、入り口も狭いですから、ホバーモービル※ とかじゃないと強行突破は無理っしょ」

 サポートで前回のミッションに参加した西村が口を開いた。

「あれ1台で500kgだとして……バギーに積めない事は無いけれど、ぞろぞろと隊列組んでじゃあねぇ」

 野木村も試算をしながら考え込んでしまっている。

「サンドトラックで運んだとしても、移動もかなり大掛かりになるし、敵に察知されやすいよな。これは困った」

 ふと林の頭に音力達を翻弄していたティーとジェイの姿がよぎった。

【いかんいかん。マフィアの言葉を真に受けるようじゃ、大願は果たせんぞ!】

 彼は浮かんで来た映像を振り払うかのように、大きくかぶりを振っていた。


※ 一人乗り小型ホバークラフトの事


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