ロ包 ロ孝 2
「え? 本当ですか? 私なんかにそう言って頂けて、大変嬉しいです」

 ジェイは笑顔を陳老人に向けた。

「カンが居なくても遠慮無く、この老いぼれを訪ねて下さい。順子さんさえ良かったら、ここに住んで頂いてもいいんですよ?」

 陳老人は柔らかな声で語り掛ける。

「そんなっ! いくらなんでもそこ迄甘える訳にはいきません」

 両手を振って断わるジェイだが、その顔はまんざらでも無さそうだ。

しかし背筋を伸ばし、思い直したように続けた。

「そのお気持ちは本当に嬉しいです。出来ればずっとお世話になっていたいのですが、坂本は私に取ってかけがえのない家族なんです。力になりたいんです」

 その決心が揺るがないと見た陳老人は、おもむろにジェイの側に行ってその頭を撫でていた。

「貴女のような人から全幅の信頼を得ている坂本氏にも、是非一度は会ってみたいものです」


〇※○※○※


「大変そうだな、ジェイ」

 カンはまたジェイを見送る為に、ボディーガード達を引き連れてドームイン東京迄来ていた。

「大丈夫よ。でも本当にいいのかしら、こんなに沢山」

「イインダって、爺ちゃんも言わんしゃったつばい? 順子はカンの大変人じゃけのぉ」

 2人でショッピングした服やアクセサリーを全てお土産として持たされ、ジェイは少し戸惑っていた。

「その服で、むさ苦しい男共の鼻を明かしてやればいいサァ〜」

 しかし折角の好意を無下にするのも忍びない。それに何よりジェイはファミリー達の反応を見てみたくなっていたのだ。

「この格好で帰ったら、みんなびっくりするかなぁ」

 ジェイはそのワクワクした気持ちを満面の笑みで表していた。

「綺麗なったジェイ見たら、ボスもきっと喜ぶ思うよ?」

 ジェイはでれでれとトロけそうな笑顔のティーを思い浮かべ、吹き出しそうになった。

「じゃ、遠慮無く頂いておくネ。……カンはすぐ帰るの?」

「いや、もう少し掘り出し物無いか見て回って帰るよ。触角だしな」

「折角でしょ? ハハ、それじゃもう行くね?」

「ボスに宜しくな。また遊ぼうな」


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