ロ包 ロ孝 2
 漸く痛みから解放された晋は、深呼吸してティーに向き直った。

「し、死ぬかと思いましたよ、ボス。いえ、ジェイなんですが……なんと女の子の格好してたんですよっ!」

 それを聞いてティーは、あからさまに脱力して返した。

「……………。………」

「貰ったんだろうって……なんでですか?」

 晋は訳が解らずティーを問い詰める。

「……、………」

「えっ? 特権階級の友達! どうして、どうやってジェイが?」

 すっかり安心し切った表情でティーは続けた。

「……、………」

「ああ、そういや前に言ってましたね。ルールを守らない奴が居たらぶっ飛ばせって」

 2人がようやく和んで話しをしていると、ドアを壊さんがばかりに三郎が入って来た。

「たた大変です。ジェイさんがっ! あれっ、何が有ったんですか、コレっ!」

 部屋の一角に破壊されたソファーや机が山になっているのを見て、ゼイゼイと肩で息をしている三郎が言った。

「晋君。またキレたんですか! でもよりによって、ボスにキレるなんて」

 ティーは手を振って否定しながら笑いを堪えている。晋はさもおかしそうに腹を抱えて笑った。

「ハッハッハッハッ、俺がボスにキレる訳ねぇじゃねぇか!」

「…………」

「ええっ? ボスがやったんですか? なんだぁ、びっくりしましたよぉ……それよりジェイさんなんですが」

 三郎が身を乗り出すのを押し留めて晋は言う。

「それ。俺が今ボスにお話しした所だ」

 晋がティーの代わりに説明すると、三郎は雷児と超素質を探していた時の事を話した。

「多分その特権階級の友達って、その時に会った変な外人ですよ。何ヵ月か前にも1度俺の店に来たんです。恐らくその時、ジェイさんに助けて貰ったんだな」

  ガチャッ

「ボスぅ、入りますよぉ。な、ナンっすか。どうしたんすか、コレ」

 扉を開けて入ってきた雷児は、事情が解らずティーに尋ねていた。

「ああ、雷児さん。ジェイさん、あの変な外人の所に泊まってたみたいです」


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