ロ包 ロ孝 2
「おっとっと」
最敬礼を慌てて解いた林は、何とかその小さい鳥の彫り物を受け止めた。
「マスター。この丸い鳥、何て名前だ?」
「スズメさ。知らないだろうが昔は何処にでも居たもんだ」
「へええ、そっか……それじゃ、俺も失礼するよ」
林は首からぶら下げたケースの中からカードを取り出すと、カウンターの端末にかざす。コインがぶつかり合う電子音を確認して店を後にした。
「毎度ありぃぃ」
商売っ気の欠片もない石崎の声を階下に聞きながら、林はまた凍った砂の世界に出ていかねばならない自分を奮い起たせていた。
「今日は帰ってゆっくりしよう。4日振りに風呂にでも入るか」
ツナギ状になっている防塵インナーを着込み、顔をすっぽりと覆うマスクを掛け、ベルトに付いたフィルターを交換する。インナーだけでも室内に居る時の2倍位には見えるのに、その上からまたマントを羽織るのだから相当外出着はかさ張る。
この店の入り口が狭いのではなく、出入りする人間が大きかっただけのようだ。
「エンジン掛かるかな……フィルター替えてないしなぁ。
俺達ももう少し資金力が有るといいんだけど……」
キュルッ プスン
「………」
キュルッ ブロォンッ
「掛かったっ!」
そして加速を始めたサンドバギーは、瞬く間に砂嵐の中へ掻き消されて行った。
最敬礼を慌てて解いた林は、何とかその小さい鳥の彫り物を受け止めた。
「マスター。この丸い鳥、何て名前だ?」
「スズメさ。知らないだろうが昔は何処にでも居たもんだ」
「へええ、そっか……それじゃ、俺も失礼するよ」
林は首からぶら下げたケースの中からカードを取り出すと、カウンターの端末にかざす。コインがぶつかり合う電子音を確認して店を後にした。
「毎度ありぃぃ」
商売っ気の欠片もない石崎の声を階下に聞きながら、林はまた凍った砂の世界に出ていかねばならない自分を奮い起たせていた。
「今日は帰ってゆっくりしよう。4日振りに風呂にでも入るか」
ツナギ状になっている防塵インナーを着込み、顔をすっぽりと覆うマスクを掛け、ベルトに付いたフィルターを交換する。インナーだけでも室内に居る時の2倍位には見えるのに、その上からまたマントを羽織るのだから相当外出着はかさ張る。
この店の入り口が狭いのではなく、出入りする人間が大きかっただけのようだ。
「エンジン掛かるかな……フィルター替えてないしなぁ。
俺達ももう少し資金力が有るといいんだけど……」
キュルッ プスン
「………」
キュルッ ブロォンッ
「掛かったっ!」
そして加速を始めたサンドバギーは、瞬く間に砂嵐の中へ掻き消されて行った。