ロ包 ロ孝 2
『それでな、俺の嫁さんも記憶喪失になっちまったらしいが健在だって言うのさ』
「それは良かったですね! 60年の時を経て、感動の再会だ」
「俺もボスのお役に立てて嬉しいです!」
ジェイも雷児もニコニコしながらティーを見た。
『まだ確証は得ていないんだがな。後は本人から聞くのを待つだけだ』
死ぬ程恋い焦がれた里美が生きている。そう考えただけでティーの胸は激しく踊り出すのだった。
〇※○※○※
キィィィィン ゴォォォォ……
厚く垂れ込めた暗雲の中、頭上を対地攻撃用戦闘機が超低空で行き過ぎる。
キュルキュルキュルキュル……
キャタピラの乾いた回転音が、戦車隊の移動する重い地響きの中にこだまする。
60年前、ティーは音力のエージェントとして、海鮮の機甲師団一個大隊とたった1人で対峙していた。
海鮮の最高指導者を亡き物にする為のオペレーションで敵国に乗り込んだティー達だったが、チームのメンバーを殆んど殺され、指導者暗殺を果たした妻『里美』も敵の凶弾に依って倒れた。
その仇を討つべく、蠢声操躯法の最終奥義である【前(ゼン)】を放つ為に、
「ぬぉぉぉぉぉぉお」
彼は気合いを蓄め、息を吸い込む。
「コォォォォォォオ」
本来ならば「ザァッ」と発声して術を放つべき所をティーは、感極まって妻の名前を叫んだ。
「里美ぃぃぃぃぃい!」
肺一杯に吸い込んだ空気を、限界迄蓄積させた気合いと共に解き放つ。
その瞬間、ティーの細胞ひとつひとつが変化し、不老不死となった。そして人智を超えたその超絶発声に依って起きた振動が、抱いていた里美にも伝わって息を吹き返したのだ。
グゥォォォォゥン
渦巻く暗雲の中心、天上にぽっかり開いた穴へ向かってティーから放たれた巨大な白龍が上昇し、後を追うように竜巻が吸い込まれていく。
そして暗かった雲がオレンジ色に何度も輝くとその穴から何十、何百もの真っ赤な炎をまとった龍が、咆哮を上げて大地に向かい次々と降って来た。
「それは良かったですね! 60年の時を経て、感動の再会だ」
「俺もボスのお役に立てて嬉しいです!」
ジェイも雷児もニコニコしながらティーを見た。
『まだ確証は得ていないんだがな。後は本人から聞くのを待つだけだ』
死ぬ程恋い焦がれた里美が生きている。そう考えただけでティーの胸は激しく踊り出すのだった。
〇※○※○※
キィィィィン ゴォォォォ……
厚く垂れ込めた暗雲の中、頭上を対地攻撃用戦闘機が超低空で行き過ぎる。
キュルキュルキュルキュル……
キャタピラの乾いた回転音が、戦車隊の移動する重い地響きの中にこだまする。
60年前、ティーは音力のエージェントとして、海鮮の機甲師団一個大隊とたった1人で対峙していた。
海鮮の最高指導者を亡き物にする為のオペレーションで敵国に乗り込んだティー達だったが、チームのメンバーを殆んど殺され、指導者暗殺を果たした妻『里美』も敵の凶弾に依って倒れた。
その仇を討つべく、蠢声操躯法の最終奥義である【前(ゼン)】を放つ為に、
「ぬぉぉぉぉぉぉお」
彼は気合いを蓄め、息を吸い込む。
「コォォォォォォオ」
本来ならば「ザァッ」と発声して術を放つべき所をティーは、感極まって妻の名前を叫んだ。
「里美ぃぃぃぃぃい!」
肺一杯に吸い込んだ空気を、限界迄蓄積させた気合いと共に解き放つ。
その瞬間、ティーの細胞ひとつひとつが変化し、不老不死となった。そして人智を超えたその超絶発声に依って起きた振動が、抱いていた里美にも伝わって息を吹き返したのだ。
グゥォォォォゥン
渦巻く暗雲の中心、天上にぽっかり開いた穴へ向かってティーから放たれた巨大な白龍が上昇し、後を追うように竜巻が吸い込まれていく。
そして暗かった雲がオレンジ色に何度も輝くとその穴から何十、何百もの真っ赤な炎をまとった龍が、咆哮を上げて大地に向かい次々と降って来た。