ロ包 ロ孝 2
  ブゥン ブンッ ブブブブッブゥゥゥゥゥン

 西村が操作するとその空飛ぶ豆は野木村の目の前に移動し、ホバリングしてみせる。

「凄いじゃない! ちょっとミンナぁっ! 来て来てぇっ!」

 野木村はマスクに付いている通信機で全員に呼び掛けた。

  ヒュォオンッ ヒュォオンッ

「どうしました?」「どうしたノギちゃん」

  ヒュィィィィ ィィン

  プシュゥゥゥゥ……

 ブルー·タスクの最新鋭兵器、ホバーモービルの全機揃い踏みだ。

「やっぱり、4機揃うと壮観よねぇ。新車は輝きが違うわっ!」

 作戦行動用に3機、予備機に1機の真っ黒なホバーモービル。ボディーの横には『牙』を象徴した鮮やかなブルーメタリックのラインが引かれている。

「それにしてもMr.キューって一体誰なんだろうな……」

 これ迄貧窮していたブルー·タスクの台所事情は急に好転し、レッド·ネイルと遜色無いものになっていた。

謎の人物『キュー』から巨額の資金援助が有ったからだ。

林は直ちに返金の手続きを取ろうとしたが、銀行側にも出金元が解らずそれは叶わなかった。

その後送られて来たメールには「どうか民権奪還の為に心置き無くお使い下さい。同志Q」とだけ記されていて、返信を試みたが既にそのアドレスは存在していなかった。

メンバー達は大喜びして備品の充実に走り回ったが、林は素直に喜ぶ事が出来なかった。

【このタイミングでこの資金提供。我々の内情に詳しい人物に違いない。そうなるとその人物は限られてくる。
 ……この金は『キタナイ』金に違いないんだ】

 そう思い込んでいた。

林は上官の清水やギンコーの石崎にも聞いてみたが、揃って「心当たりは無い」という返答だった。

しかし実際問題、今回のミッションを行う上で林達は喉から手が出る程資金を必要としていた。しかし他に表立って協力しようというスポンサーが見当たらなかったのも事実だ。

林は仕方なくその好意に甘える決断を下したのだ。

「まだ考えてるの? ミッツィー。キューさんだろうとティーさんだろうとハニーさんだろうと、私達の同志なのよ?
 このミッションはこれからに大きく関わってくる大事な一歩なんだからねっ?」


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