ロ包 ロ孝 2
「これは蛋白質で出来た樹脂です。こっちが出来立てホヤホヤの樹脂。固いっしょ?」

 みんなに回されたそれは確かに固い材質だった。軽めのプラスチックといった所か。

「ボディーの殆どとカメラの主要部品は全てこいつを使って作ります。試作機7号で作った『型』を使うんです」

 西村はさも得意そうにその場を見回して続けた。

「そうするとさっき見せたようにフライカメラは腐ります。残るのは電池とモーター位です。それにも酸を使った自滅装置を付けます」

「なるほどぉ、あそこは温度も湿気も腐敗させる条件には申し分無いもんなぁ。西村君凄いよぉ」

 メンバー達は感心頻りであった。

「でも、飛行制御プログラムは野木村さんにお任せでしたけどネ……」

 人間が全ての制御を行うには、フライマシンの挙動は細か過ぎる。基本制御をコンピューター化した西村は、蝿、トンボ、鳥等の飛行解析とマシンへのフィードバックプログラム作成を野木村に一任していた。

「あら、いいのよ。手柄は西村ひとりの物で。私なんかチョチョイと指を貸した程度よ?」

 斜に構えた野木村は、得意気に手柄を譲る。

「そ、そうそう! 野木村さんはいっつもげ、ゲームばかりやってるんだから。こ、こういう時に働いて貰わないと」

「大沢ぁあ?」

 マスクのシールド越しにギロリと睨まれ、彼は前言を撤回した。

「す、スイマセン。言い過ぎました」

「ハハハ、まぁいいわ? じゃあ、戻って作戦を練り直しましょう。ね、ミッツィー?」

 彼らはホバーモービルをトランスポーターに載せると、荷台へ乗り込む。

「わ、わたしは?」

「ノギちゃんは練習! 俺を乗っけてってくれ」

「でも突入はしないんじゃ……」

「これからどんなミッションが有るかわからないだろう? サンドモービル位乗りこなせなきゃ、ホレホレ」

 林がサンドモービルの後ろに股がり、野木村に手招きをする。

「……練習は嫌だけどミッツィーと一緒なら別だわ?」

 嬉しそうに女走りでやって来た野木村は、サンドモービルに股がるとイグニッションを回した。


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