ロ包 ロ孝 2
  キュルッ ビィイインッ

 完璧に整備されたそれはセル一発で目覚め、高らかに吠えた。しかし次の瞬間。

  ガチャン プスン

 野木村がクラッチを切らずにギアを繋いだ為、見事にエンストした。

「あーあーノギちゃん。サンドモービルはトルク重視のセッティングをしてるんだから、こんな繋ぎ方してたらシャフトがネジ切れちゃうよ。
 ほらこうクラッチ切って、ゆうっくり繋ぐんだよぉ」

 林は後ろから覆い被さるようにしてクラッチを握る。

「ああうっ、背中に当たってるわっ! ミッツィーの固いのがっ!」

 野木村が感極まって嬌声を上げる。

「ノギちゃんっ! 真面目にやれ! それにこれは防塵フィルターだっての」

「ごめんなさいぃぃ」


〇※○※○※


「やっぱりまだ皆帰って来てないな。ノギちゃん、随分早かったじゃないか。上手になったよ」

 野木村は頬を染めてシナを作っている。

「ミッツィーの教え方がいいからよぉ」

 林達は一足早く事務所へ戻って来ていた。

「ミッツィー。ほら、キュー氏からメールが来ているわ?」

 いつものようにディスプレイをチェックしていた野木村が言った。

「何? どれどれ、見せてみろ!」

 その正体も明かさずに、援助と言うには余りにも巨額な資金を提供してくれたキュー。林はそれが誰であろうと、一言謝辞を述べたかったのだ。

「ほら。ここにBBSのリンクが貼ってあるわ?」

 バナーをクリックすると、貧相なテキストのみのBBSにコメントが残されていた。

<1;

投稿者
同志Q

題名
no title

本文
そちらからのご要望が伺えるよう、簡素ですがBBSを開きました。

そちらのIP以外からは閲覧出来ないようにしてはありますが、念の為機密事項はまた別ルートを考えましょう>


「おお、これでやっとお礼が言えるな!」

「でも何を隠そう、今回一番キューさんから恩恵を受けているのは私なのよネ」

 キューからの援助を使って野木村は、モノリス攻略の為量子コンピューターを導入していた。


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