ロ包 ロ孝 2
『ジェイ! 来るぞ!』

「はいボスッ、ヮァァアアア」

 ジェイはティーの後ろに控え【列】を張って防御する。

  パンッ パパンッ

 放たれた弾丸はジェイの張った【列】に突き刺さって事なきを得た。墨刀一味を追い詰めた2人は、先程から逆に反撃を受けている。

 ドームイン東京の隣りに有る遊園地の跡地に逃げ込んだ一味は、物陰に潜みながらティーとジェイを取り囲んだのだ。

「ボス、これじゃ多勢に無勢です。いっそ【前】で建物ごと吹っ飛ばしちまいますか」

 辺りを見回しながらジェイが伺いを立てる。傍にある建物のすぐ裏で、不穏な空気がティー達に狙いを定めていた。

『いや、一般人を巻き込みたく無い。出来るだけ個別に叩くんだ』

「はい、解りました。ダッ! ダッ!」

  ボゴッ ドゴッ

「ぎゃぁぁぁあ」「おわっ!」

 ジェイが放った【皆】で頭上の庇を壊され、落下したコンクリートの塊を受けた2人が沈黙する。

ドーム内とは違い、砂嵐が相手の気配を消していて、それが余計にティー達の焦りを煽っている。

『ジェイ、雷児達はまだかっ!』

「さっき呼び出しを掛けたんですが……まだみたいです、ダッ!」

『そうか、しかしこのままではジリ貧だ。ジェイ、耳を塞げ』

「とうとうやっちまうんですか?」

『ああ、やむを得んだろう。奴らは殺意を持って我々を狙ってきている』

 ティーは余程の事が無いと攻撃をしない。声の破壊力が凄まじ過ぎるからだ。

しかし周りを墨刀一味に包囲されている今、その力を使わざるを得なくなっていた。

「シュッ」

  ヒュゴォォォオ

 ティーから放たれた【陣】が唸りを上げて一味の潜む壁に向かう。

  ズッパァァァッ!

 すると次の瞬間。壁の根元が、裏側に隠れていた一味の足ごと切り裂かれた。

「? えっ! うぎゃぁぁあ」「ひぃぃっ、足がっ足がぁぁ」「逃げろっ、壁が倒れるっ!」

「ダッ」

 ジェイが短く【空陳】を放つと、その壁は一味の上にゆっくりと倒れて行った。

「ぅわぁぁあっ」「ヒッ、ヒィィィイッ」


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