ロ包 ロ孝 2
 ポニーテールに縛り上げた自慢のさらさらヘアーを盛んにいじりながら解説をする野木村。

「これはFNハーフタル社製ブローミングM5重機関銃よ?……弾丸の初速は秒速835m。400mにも満たない斜行エレベーターシャフトの中では最深部の機銃からでも0.5秒で入り口に弾丸が到達するわ?
 そして毎分800発もの弾丸を発射出来て、しかも銃身を水冷装置で冷却しているから、連続一時間の射撃が可能よ?」

 彼はスケルトンにした画像を動かしながら、神妙な面持ちで付け加えた。

「ミッツィーがたとえ下まで辿り着いたとしても、その時は既に蜂の巣か……ただのミンチね……」

  ビッビビィィィィ!

 一同が凍り付いたそんな中、突然警報が鳴り響いた。

「林さん。身元不明の人物が接近してきます」

 モニターの画面に、やけに小さい人物の画像が映し出された。

「なんだぁ? 子供ですかねぇぇ」

 倍率から算出するとその身長は140cmに満たない。

「子供ひ、1人でこんなす、砂嵐のなかを?」

 3台の自動追尾カメラが捉えている映像を次々に切り替えながら、野木村は気色ばむ。

「ここは表向き部品工場になっているから子供に用なんか有る筈ないし、1人で歩いて来れる程町から近くもないわ?」

「怪しいな、新手の刺客か? ロボットかも知れない」

 林が身を乗り出すと、野木村に代わってモニターを操作していた山路が言った。

「金属反応ナシぃぃ、サーモグラフィーでは約35℃前後の体温。恐らくロボットじゃ有りませぇぇん」

「油断は禁物だ。音力のエージェントだったら丸腰でも脅威になる」

 林はすぐそこ迄来ている男を見ていたが、何かに弾かれたように立ち上がって叫んだ。

「ああっ! この人は!」

 大写しにされたモニターの男は、林の知った顔だった。


〇※○※○※


「おい雷児。準備はいいか?」

「はい。でもみんなは大丈夫でしょうか」

 所変わって峰晴と雷児は、墨刀一味が根城にしていると思われる賭場の裏手に潜んでいる。

「この防寒スーツには防弾化工も施されていてな。蠢声操躯法が出来ないやつでも弾丸に貫通される事は無い」

「それなら安心だ。術に集中出来ます」


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