ロ包 ロ孝 2
 蠢声操躯法を操れない者も修練途中の者も、峰晴から支給された武器を得て息巻いている。

「よぉし! 雷児と峰さんを援護するぞ!」

 ジェイが呼び掛けるとマフィア達はシュプレヒコールを上げた。

「おおぉぉぉう!」

 するとそこに拍子抜けした面持ちの雷児が登場した。

「お前達、いやに盛り上がってないか? 何だか楽しそうにも見えるし……」

 そんな雷児を見付けたジェイは彼を叱り飛ばす。

「何しに来たんだ雷児。墨刀は、峰さんはどうしたんだ!」

「……ああそうか。ジェイさんが説明してくれてたんですね!
 いや俺は、峰晴さんからボスが生きてる事をみんなに伝えて来いって言われて、それで……」

 ジェイはいきなり雷児に飛び掛かり、その胸ぐらを掴んで引き寄せると、彼の目を覗き込みながらこう凄んでみせる。

「おいコラ雷児。俺がお前らを待ってる間に、ただ手をこまねいているだけだとでも思ったのか? ああん?」

 雷児はそんなジェイの睫毛が、長くて沢山生えているのを発見していた。

「そ、そうですよね。今、峰晴さんが切り込み隊長やってくれてます。み、みんなで助けにいきましょう。
 て、て、てめぇらも気合い入れろよ?」

 1人相撲を取っていた事に対してバツが悪かったのか、雷児はひきつった笑顔を張り付けて音頭を取る。

「行くぜ!」

「おっしゃぁぁっ!」

 そこには、いつもと変わらぬティーファミリーの笑顔が帰ってきていた。


───────


「よし雷児、案内しろ」

 ジェイ達は真っ暗な遊技場になだれ込んだ。非常灯だろうか、僅かに数個の白熱灯しか点いていないそこに人影は無い。

「奥の黒い扉の向こうがバックヤードになっています。階段はそのまた奥です」

 ジェイは頷くが早いか【者】を使い、瞬く間にその扉へ身体を添わせていた。

「キィィィィィィ」

 【朱雀】を使って中を窺うが、どの周波数にも聞こえてくる音がない。

「奴らはここには居ない。多分上だけだな」

 階上からは慌ただしい足音が聞こえてくる。墨刀一味と峰晴が揉み合っているのだ。ジェイは扉のノブを回すと、力を込めて蹴り込んだ。


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