ロ包 ロ孝 2
  ダンッ!

「ジェイさん!」

「なんだ雷児。んちくしょう【者】を使わねぇと開かねぇか? 扉の向こうに何か有るのか!」

  ドン ドンッ!

 扉が開かずムキになったジェイは体を入れ替え、肩で体当たりを始めた。

「ジェイさんってば!」

「何だようるせえな! お前も突っ立ってねぇで加勢しろよ」

「そこ、こうやって引くんです」

 雷児がノブを引くと扉は造作も無く開いた。

「早く言えってんだよ、お前は!」

「だから呼んでたのにぃ……」

 そうブツブツ溢している彼の肩を【空陳弱】で突き飛ばしながらジェイは奥へと進んだ。

「峰さんっ今行くよっ。なっ、なんだこれ!」

 階上に居る筈の峰晴に声を掛け、バックヤード奥に有る階段を昇ろうとしたジェイが、急に立ち止まった。

「どうしたんですかジェイさん! ああっ、これは!」

 後から追い付いてきた雷児も立ち尽くす。何故ならその階段は、峰晴が仕留めたと思われる死体で埋め尽くされ、人が通れる隙間が無かったからだ。

「雷児。裏に回って非常階段を探せ、そこから2階に上がるんだ」

「はいっ。ユウレイ、三郎、一緒に来い」

「へい」「解りました」

 雷児達は連れだって遊技場を出て行った。

「ジェイさん、俺達はどうします?」

「仕方ねぇな。お前ら、ちょっとグロい事になるから下がってろ」

 そう言って階段に向き直ると息を吸い込んだ。

「コォォォォォオ」

「ジェイさん【前】はヤバイです」

 その言葉を手で制して退かせると、口に手を当てて発声した。

「シュシュシュシュシュシュ……」

  バシュ スパッ ズパズパズパ グシュザシュッ

 拡散して発せられた鋭い【列】が、死体の山を小間切れにしていく。屍の首が飛び、腕はもげ、足は身体から切り離される。

「ジェイさん……」

 まるでこの世の地獄のようなその光景に、敦は思わずジェイの名を呼んでいた。

「シュシュシュシュシュシュ……」

  グシュ ザシュバシュ グチュグチュチュッ


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