ロ包 ロ孝 2
 尚も放たれ続ける拡散【列】は見る間に骨から死肉を引き剥がし、小間切れにして、やがてドロドロの液体にした。死体から噴き上がった血しぶきは、壁や天井を一瞬の内に赤黒く染める。元は人型をなしていた筈の液体は階段をゆっくりと流れ出した。

  ゴロンッ ゴロゴロゴロ ゴトッ

 階段を転げ落ちて来た頭蓋骨が若いマフィアの足元で止まり、潰れた眼球がドロリと流れ出る。

「オゲッ、ゲロゲロ。グエエエ」

「エロエロエロオエエエッ」

 闘いに慣れていないマフィア達は、そこここで嘔吐していた。

「終わったぞ、これで2階に上がれる。付いてこい」

 その血塗られた階段に触れる事もなく、ジェイは【北斗】で飛び上がる。

「ジェイ、お前だけズルいぞ!」

 晋がヌルヌルした階段に足を取られながら叫んだが、もう戦闘の渦中に踊り出していた彼女には届かなかった。

「峰さんっ!」

 階段を登ってすぐの大部屋で、峰晴は大立ち回りを演じていた。【者】を使い自らの力を3倍にして、肉弾戦を展開している。

「お、いいところに来た。人が居すぎて術も使えねぇんだ。
 ジェイ、【玄武】を俺に」

「解った。フゥゥゥゥゥウ」

 峰晴はジェイから放たれた【玄武】で3倍になった力を自らの【者】で更に3倍し、9倍力へと引き上げる。

「貴様らぁ、まとめて地獄に送ってやる。フゥゥゥゥォォオオ!」

 9倍力を得て身体がふた周り程大きくなった峰晴は、目の前で震えながら銃を構えている男の手首を取り、

  バキャッ! ブチッ!

 その手を有り得ない方向に曲げるとそのまま引き千切った。

「ギョワァァァアッッ!」

 耳をつん裂くようなその叫びを合図に、峰晴は墨刀一味のただ中に身を踊らせる。

  ブチッ「ぎゃっ」バキバキッ「おわわわっ」ドスッ! ベキッ ブチブチッ!

「ギャァァァァァ……」

 阿鼻叫喚の地獄絵図の中で、何人かのチンピラは精神に異常を来していた。

「ヒィィィィィッッ!」


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