ロ包 ロ孝 2
  パンパン パパン!

 敵も味方も関係無く銃を乱射している者。

ただ喚き散らしながら頭を抱えて泣き崩れる者。

峰晴に千切り取られた仲間の腕を、微笑みながら大事そうに拾う者。

 抵抗しなくなった者や逃亡する者には構わず、自らに刃を向けて来る墨刀一味には容赦をしない峰晴。手当たり次第に腕を引きちぎり、首をへし折り、内蔵を引っ張り出しながら歩を進めていく。

その後方には最早使い物にならなくなった『ならず者』達の山が出来上がっていた。

  ハァッ ハァッ ハァッ

 峰晴はその場に居た墨刀一味を全て沈黙させると、身を屈めて膝に手を付き、その荒い息を整えていた。

「ッハァッハァッ……ジェイ。も……もう駄目だ。ハァッ、ハァッ。かっ身体が、ハァッ身体が持たない……」

 そんな峰晴を優しい笑顔で見返しながら、しかしきっぱりとジェイは言い放つ。

「峰さん。やっぱりすっかりナマっちまってたんだろ。後は俺達に任せて休んでな。
 これは現No.2としての命令だ」

 彼女は峰晴が限界に達した事を覚ってそう言ったのだ。

「へっ、冗談じゃないと逆らいもしたい所だが……情けねぇ事にもう1歩も動けねえ。
 ジェイ、後はNo.2のお前に頼んだぞ」

  ガクッ

 9倍力は身体に9倍の疲労とダメージを与える。長い間運動らしい運動もして来なかった峰晴にとって、この30分の戦いはいきなりフルマラソンを完走するような物だった。

「峰晴さんっ、大丈夫ですか?」

 力尽きて膝から崩れ落ちた峰晴を、足の傷に応急処置を施しただけの晋が抱え上げる。峰晴が倒れたその頃にはやっと、足元の死体を掻き分けながら晋や敦も追い付いていたのだ。

「ああ、平気だよ。ちょっと休めば治る。
 お前も足の傷が酷いんだからここに俺と居ろ」

 峰晴は晋を気遣ってそう言った。

「そんなぁ。幾ら峰晴さんだからって聞ける事と聞けない事が有りますよ。
 俺だけ皆の為に働けないなんて嫌っ、ひぇっ?」

 突然小さい叫び声を上げ硬直した晋を峰晴が振り返った時だった。

「どうした? アッアアアッ?!」


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