ロ包 ロ孝 2
晋の頬からひと筋のしずくが落ちるのが見えた刹那。後から後から鮮血が溢れ出て、峰晴の顔にに降り注いだ。
「晋! 晋! しっかりしろっ!」
「………」
頬の傷を必死に押さえながら叫ぶ峰晴に、晋はニッコリと微笑み返した。
「えっ? 黒ちゃん? どうしたの? 黒ちゃぁんっ!」
峰晴の異常な慌てようにジェイも掛け寄って来るが、晋は既に目を見開いたまま絶命していた。
「シィィィィン!」「黒ちゃぁぁあんっ!」
ジェイ達の悲痛な叫びは虚しく壁に吸い込まれていた。するとその顛末を待っていたかのように、圧し殺した笑いが起こる。
「クックックッ、派手にやってくれましたね。でもこれからはそう簡単には行きませんよ?」
広間を二分するように奥へと続いている廊下で、ライフルを構えた男が言う。その銃身からはまだ煙が立ち上ぼっていて、晋を沈黙させたのは自分だと吹聴しているかのようだった。
「桜木っ……貴っ様……か……」
ギリギリと歯ぎしりをしながら、晋の亡骸を抱えて立ち上がろうとした峰晴は、けれど力が入らずに倒れ込む。
「峰さん、無理だよ。そこで休んでなって! お前らも顔をガードしてろ!」
バン! バンバン
桜木の4連ライフルは残弾を全てジェイに叩き込んだ。苦悶の表情を浮かべて彼女は言う。
「み、峰さん。この防弾スーツ。えらく痛てぇんだけど……」
ジェイは防弾効果を過信して【列】を張っていなかった。
「馬鹿ヤロっ、ったり前だ。【列】で受け止め切れなくても死なないよう、念の為に着ているだけだ。ぁ……」
それを着ていたのに晋は助からなかったのだ。峰晴は後に言葉を繋ぐ事が出来ず、そのまま口をつぐんだ。
「峰さん。でも黒ちゃんは死んだんだよ? あんなに頑張ってたのに。いつも黒ちゃんは泣き言ひとつ言わないんだ。みんな、そうだろ?」
ジェイは一同を見回してそう問い掛ける。ストリートチルドレンだった頃の晋もそうだった。
〇※○※○※
「ねぇ晋くん。お腹空いたよぉ」
最年少の真弓が服の袖を引っ張りながら言う。彼らはもうかれこれ3日はまともな食事をしていなかった。
「晋! 晋! しっかりしろっ!」
「………」
頬の傷を必死に押さえながら叫ぶ峰晴に、晋はニッコリと微笑み返した。
「えっ? 黒ちゃん? どうしたの? 黒ちゃぁんっ!」
峰晴の異常な慌てようにジェイも掛け寄って来るが、晋は既に目を見開いたまま絶命していた。
「シィィィィン!」「黒ちゃぁぁあんっ!」
ジェイ達の悲痛な叫びは虚しく壁に吸い込まれていた。するとその顛末を待っていたかのように、圧し殺した笑いが起こる。
「クックックッ、派手にやってくれましたね。でもこれからはそう簡単には行きませんよ?」
広間を二分するように奥へと続いている廊下で、ライフルを構えた男が言う。その銃身からはまだ煙が立ち上ぼっていて、晋を沈黙させたのは自分だと吹聴しているかのようだった。
「桜木っ……貴っ様……か……」
ギリギリと歯ぎしりをしながら、晋の亡骸を抱えて立ち上がろうとした峰晴は、けれど力が入らずに倒れ込む。
「峰さん、無理だよ。そこで休んでなって! お前らも顔をガードしてろ!」
バン! バンバン
桜木の4連ライフルは残弾を全てジェイに叩き込んだ。苦悶の表情を浮かべて彼女は言う。
「み、峰さん。この防弾スーツ。えらく痛てぇんだけど……」
ジェイは防弾効果を過信して【列】を張っていなかった。
「馬鹿ヤロっ、ったり前だ。【列】で受け止め切れなくても死なないよう、念の為に着ているだけだ。ぁ……」
それを着ていたのに晋は助からなかったのだ。峰晴は後に言葉を繋ぐ事が出来ず、そのまま口をつぐんだ。
「峰さん。でも黒ちゃんは死んだんだよ? あんなに頑張ってたのに。いつも黒ちゃんは泣き言ひとつ言わないんだ。みんな、そうだろ?」
ジェイは一同を見回してそう問い掛ける。ストリートチルドレンだった頃の晋もそうだった。
〇※○※○※
「ねぇ晋くん。お腹空いたよぉ」
最年少の真弓が服の袖を引っ張りながら言う。彼らはもうかれこれ3日はまともな食事をしていなかった。