ロ包 ロ孝 2
「晋くんの大事なコンビーフでしょ? マユ半分でいいよ?」
「いや、俺今飴喰ったからさ」
頬っぺたを膨らましてコロコロと転がしてみせるが、それは晋がお守りにしている、母が遺した形見の指輪だった。大切な遺品だったから、そして貴重な食料だったから、2つとも金庫に入れてしまっておいたのだ。
「えええ? マユも飴が良かったなぁ」
「ばぁか。腹減ってるんだったらそっち喰え。でも……みんなには内緒だぞ?」
晋は微笑んでウィンクする。
「うん。晋君有り難う」
早速コンビーフにかぶり付き、幸せそうに微笑むマユの頭を大きな手でクシクシッとすると、晋は隠れ家を後にした。
───────
廃工場から電線や鉄屑などのスクラップを盗んでは金にしていた晋達だったが、前の月にそこは取り壊され、彼らの収入は断たれてしまった。
加えて仲間の三郎が何日も熱にうなされ、それを治療する為に薬を買い、彼らは全財産を使い果たしてしまったのだ。
最年長の晋は口にこそ出さなかったが、自分の不甲斐なさをいつも悔やんでいた。雷児達はそんな晋の心根を痛い程感じていたからこそ、幼いながらも頑張ってこれたのだ。
───────
「晋君には内緒だ、と念を押しながら話をするマユの言葉を聞いて、俺達ピンと来たんだよ。晋君は甘い物が大嫌い。コンビーフを全部マユに喰わせる為のお芝居だったんだって……。グスッ」
敦が鼻を啜りながら呟いた。
「そうだよ、それなのになんで晋君が……」
晋の亡骸を取り囲んで悲しみに暮れるファミリー達。しかしその僅かな惜別の時間さえ、桜木は奪い去る。
「昔話に花が咲いてらっしゃるようですが、随分余裕じゃありませんか、クックックッ。あなた方ももうお終いだというのに」
その声に振り返ると、桜木は部下を2人従えて立ちはだかっていた。部下の1人はロケットランチャーを、もう1人は身体が半分隠れる程の四角い板を持っている。
「こちらも甚大な被害を受けましたが……なぁに。
ティーファミリーのシマを手にすれば、利権に群がるゴロツキ共は幾らでも集められます」
「いや、俺今飴喰ったからさ」
頬っぺたを膨らましてコロコロと転がしてみせるが、それは晋がお守りにしている、母が遺した形見の指輪だった。大切な遺品だったから、そして貴重な食料だったから、2つとも金庫に入れてしまっておいたのだ。
「えええ? マユも飴が良かったなぁ」
「ばぁか。腹減ってるんだったらそっち喰え。でも……みんなには内緒だぞ?」
晋は微笑んでウィンクする。
「うん。晋君有り難う」
早速コンビーフにかぶり付き、幸せそうに微笑むマユの頭を大きな手でクシクシッとすると、晋は隠れ家を後にした。
───────
廃工場から電線や鉄屑などのスクラップを盗んでは金にしていた晋達だったが、前の月にそこは取り壊され、彼らの収入は断たれてしまった。
加えて仲間の三郎が何日も熱にうなされ、それを治療する為に薬を買い、彼らは全財産を使い果たしてしまったのだ。
最年長の晋は口にこそ出さなかったが、自分の不甲斐なさをいつも悔やんでいた。雷児達はそんな晋の心根を痛い程感じていたからこそ、幼いながらも頑張ってこれたのだ。
───────
「晋君には内緒だ、と念を押しながら話をするマユの言葉を聞いて、俺達ピンと来たんだよ。晋君は甘い物が大嫌い。コンビーフを全部マユに喰わせる為のお芝居だったんだって……。グスッ」
敦が鼻を啜りながら呟いた。
「そうだよ、それなのになんで晋君が……」
晋の亡骸を取り囲んで悲しみに暮れるファミリー達。しかしその僅かな惜別の時間さえ、桜木は奪い去る。
「昔話に花が咲いてらっしゃるようですが、随分余裕じゃありませんか、クックックッ。あなた方ももうお終いだというのに」
その声に振り返ると、桜木は部下を2人従えて立ちはだかっていた。部下の1人はロケットランチャーを、もう1人は身体が半分隠れる程の四角い板を持っている。
「こちらも甚大な被害を受けましたが……なぁに。
ティーファミリーのシマを手にすれば、利権に群がるゴロツキ共は幾らでも集められます」