ロ包 ロ孝 2
「ロアメ……カン・ロアメは欠席か?」
トタ……トタドタドタダダ ウィーン
「はぁっ、はぁっ。間に合ったわ。ぎりぎりセーフねっ!」
教室のドアが開いてなだれ込むように入って来たのは、先程カップルで話をしていたカン・ロアメである。
「何がセーフだ。思いっ切り遅刻じゃないか」
「すいません。話しに興が乗っちゃって」
「また新聞の取材か? 委員会活動も結構だが、学生の本分は勉強だ。さっさとPDAを出さんか!」
机に何も出さず、走った為に乱れた髪を整えていたカンは、慌ててカバンからPDAを出した。
「乙女に身嗜みを整える暇もくれないなんて……だから長老は『なんか言ったか?!』いやっ、なんでもありません」
カンは必要以上にPDAにかじり付き、タッチペンを握り締めた。
「オホン! では始める。昨日話した所迄は理解出来たと思うが……」
『長老』と呼ばれた教師は、教壇のコントローラーを操作しながらディスプレイに表示された年表を指し示した。
「違うのよね、実際は!」
カンは自分にしか聞こえないように呟くと首を竦めた。話は丁度折りも折り、近代アジアの歴史についてで、海鮮の総書記暗殺に関する授業だった。
「あの子の瞳は嘘なんかついてなかったもの、絶対!」