ロ包 ロ孝 2
 妙に大人びたその子供。いや実際は大人のティーと思われる小さい人物は、深く頷いて肯定した。


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「……そんな事が。確かにマフィアの抗争事件、2日前に有りましたよ。なぁノギちゃん」

「これでしょ? 現場が凄惨過ぎて正確な死傷者の数さえ把握出来なかったっていう……」

 野木村は液晶ペーパーを指してみせた。

「その前日のこれ、ティーさん絡みだったとはな」

 林がクリックして見せたのはミサイル乱射事件の小さい記事。

「でも次の日の抗争事件、ティーさんのファミリーについては何も伝えていませんでしたよ? ノギちゃん」

 そう促されて野木村はニュースの画像をスクリーンに写し出した。首謀者とされている桜木の顔にティーは見覚えが有る。報道の状況から見て、被害の殆どは墨刀側が被ったようだった。

【ひとまず乗り切ったみたいだが、みんな無事なんだろうか……ジェイは、雷児は……】

 ティーはその事を考えると居ても立ってもいられなかった。しかし極寒の砂嵐が吹き荒ぶ外の世界は、まだ修復を終えていないこの身体に取って、脅威以外の何物でも無い。

運良くここに辿り着いていなかったら、再生途中にして永遠に凍り付いてしまったであろう。

「とにかくその身体では帰す訳にもいきません。暫く鋭気を養っていかれたら如何ですか?」【お礼もしなければなりませんし……】

「?」

「いやいやこっちの話です」

 まだ林はティーから資金提供を受けたのだと思っている。今挑んでいるのは、その恩恵を受けてこそのミッションなのだ。


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