ロ包 ロ孝 2
「ええっとぉぉ、ドームイン東京は確かにここなんだけどぉ」
ティーから託けを授かった山路はアジトの場所が解らず、途方に暮れていた。
「ああぁ、すいません。ティーさんを探しているんですけどぉぉ」
手当たり次第に声を掛けてみるが、誰ひとりとしてまともに取り合ってはくれないのだ。
「あんな事件がぁ有った後じゃあぁ、まあぁ当たり前だよなぁぁ」
ドームイン東京の若い露店商に聞けばアジト迄案内してくれるとティーから聞いた彼は、いの一番にそこを訪れた。しかし露店を広げている者は皆、よそから来た流れ者だった。
「まさかぁ、ティーファミリーが全滅ぅ……?」
そう独りごちた山路はいきなり、肩を乱暴に掴まれていた。
「おうオッサン。聞き捨てならねえ事を抜かしてくれるじゃねえか! 俺達が全滅しただと? コラァ!」
そこには肩をいからせて凄んでいる敦が立っていた。斎場から戻ってくる途中の若いマフィア達と偶然行き当たったのだ。
「あぁぁ、えぇぇえとお」
「なんだこのオヤジ、ナメてやがんのか!」
「いやぁぁ、貴方達ぃ、ティーぃぃファアミリィィのぉ人でぇぇすかぁぁぁ?」
普段接し慣れていない『その筋』の物言いに気圧されて、山路はいつにも増して言葉がゆっくりとしか出て来なかった。
「ああん? さっきそう言っただろう、このポッチャリオヤジがっ!」
ジェイが見兼ねて助け船を出しに来た。
「まあまあ、よせよアッちゃん。オヤジも言葉を選べよな。ほら、もうあっち行け」
「あぁあぁあ、ジェイってひとだぁぁ見付けたぁぁあ」
彼女は素早くマントで顔を覆って横を向く。
「貴様、賞金稼ぎかっ!」
峰晴が踊り出て山路の襟首をねじり上げた。
「苦しいぃぃ、放してぇぇっ! ウチに……ティ、ティィィさんが居るんですぅぅ」
「お前のウチにティーさんが居るだとぉ? ……何? ボスがかっ!」
「ほら、やっぱり生きてた」
ジェイがパッと顔を輝かせる。若いマフィア達も一様に笑顔を見交わしていた。
「託けを預かって来てい……ぐるじい」
余りの喜びに力を抜く事さえ忘れていた峰晴は、慌てて山路を地面に下ろすと途端に態度を変え、服の埃を払ってやったりしている。