ロ包 ロ孝 2
「俺、ボスの事が信じ切れてなかったんだよ。ファミリーをやめさせられるのは、ただ俺の事が要らなくなったからだと思ってたんだ」

 山路を見送った後アジトへ取って返した彼らに、すっかり憔悴し切ったジェイがこぼした。

「ちょっと待っておくんなせえ。ボスに限ってそれは有りやせんぜ、ジェイさん。あんまりと言えばあんまりだぁ」

 ユウレイが珍しくジェイに喰って掛かる。

「そうだよ。そんな事有るわけ無いじゃないかっ……て言いたい所だけどな。
 実を言うと俺は、ジェイの気持ちも解るんだ」

「峰晴さんまで……」

「いや聞いてくれ。みんなも知っての通り、俺はここのNo.2だった……」

 彼はジェイの肩に手を置きながら、ゆっくりと話し始めた。


───────


『峰』

「はい、ボス。今度はどこのゴロツキ共を締めにいきますかっ?」

 その時、まだ若く血気盛んな彼は満面の笑みをティーに返していた。

『違うんだ、峰。お前のその頭をこのまま埋もらせるのは勿体無いと思わないか?』

「えっ? いきなり何ですか。俺はボスの力になれればそれで本望ですよ」

『じゃあお前はそれでいい。しかしアコはどうだ?』

 峰晴がティーの元にやって来た切っ掛けは、峰晴家族の旅行中に起きた事故だった。

レンタルホバークラフトで走行中の彼らに、居眠り運行の貨物用ホバークラフトが突っ込んで来たのだ。

重量の有る貨物用のそれと、たかだか9人乗りでしかない乗用ホバークラフトでは、受ける衝撃の差は歴然。元の姿が解らない位にひしゃげてしまった峰晴達の船を見て、周りの誰もが生存者は居ないだろうと嘆いていた。

そこを偶然通り掛かったティーは【朱雀】を使い、生存者を確認すると【者】に入った。普段から超活性状態にあるティーの【者】は鋼板を飴のように押し拡げ、奇跡的に生きていた兄妹を救い出したのだ。

不幸にも両親は既に絶命していたが峰晴達の命に別状は無く、骨折程度で済んでいた。しかしティーが居室を無理矢理抉じ開けた時に2人はぎゅうぎゅうに押し潰されていて、その状態のままで放置されていれば、恐らく圧死してしまったに違いなかった。


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