ロ包 ロ孝 2
「安部さん。月の駐在員から連絡が有りましたが、民権奪還軍との結び付き迄には至らなかったようです」

 彼、新聞記者『安部貞夫』はすぐさま登社して、事実関係の洗い出しを急いでいた。

「国連軍のスポークスマンは何と言っているんだ」

「いつもの通り、のらりくらりですよ」

「もう一度月と回線を繋いでくれないか。私が直接話を聞いてみる」

「はい」

 俄に社内が活気付く。安部は前にも誰もが見過ごしてしまうようなカンの記事から、政治問題になる迄のムーヴメントを起こしていたのだ。

「この頃有った大きな事件と言えば、マフィア同士の抗争事件位のものだったからな。
 これが確かなら甘露飴新聞サマサマだ」

 バタバタと埃っぽいデスクで彼は、ゆっくりと合成コーヒーを啜った。


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