ロ包 ロ孝 2
「行ってきましたぁよぉっ!」

「サンキュー。で、あいつらは何て?」

 階上に現れたのはブルー・タスクの実行部隊隊長、山路である。彼は作業場に続く鉄骨階段を降りながら、早速(だがノロノロと)文句を言い始めた。

「林さんがぁ行けばぁ話は早いのにぃ、面倒な事ばっかぁ俺に押し付けてぇ……」

「ああ俺、アイツ苦手なんだよ。悪い悪い」

 皆まで聞かずにすかさず謝る林は、レッド・ネイルの小池が嫌いだったのだ。

「いや、だがな、奴の言う事はいつも至極尤もなんだ。でも言い方ってもんが有るだろ? 普通はさ」

 山路はどこを見るでもなく考えを巡らせていたが、何も思い当たらなかったらしい。

「俺はぁ、い~い人だと思うんですけどねぇ」とかぶりを振る。

「馬鹿言うな! 奴は顔からして捻くれてるじゃないか」

  カンカンカンカンッ

 林はやりかけの修理と山路を放ったらかして事務所に駆け上がる。

「奴の偽善を見抜けないようじゃお前もまだまだだ! ナマジ」

 階段から顔だけ出すと、階下の山路をなじるように吐き捨てた。

「す、すいませぇん……って! なんで俺がヘコまされなきゃいけないんですかぁ!
 それにナマジって誰ですかぁっ!」

「決まってるだろ、お前だヒマジ!」

  カンカン、カンッ カンッ

 山路は林の後を追って階段を上りながら言った。

「わざと間違えてるでしょぉ、林さんっ! はや……し」

 だがそこには睫毛をビューラーで整えている野木村の姿しか無かった。

「なぁに? ミッツィーなら何処かへ出掛けたわよ?」

「はぁぁっ……」

 山路は魂が抜けるかと思う程の溜め息を吐いていた。


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