ロ包 ロ孝 2


「わざわざ来て貰って申し訳なかったですね」

 レッド・ネイルのリーダー、小池は温かいコーヒーを淹れながら林の労をねぎらった。ここの事務所はブルー・タスクのそれと比べるとまさに月とスッポンだ。

「おっとイケナイ。林はコーヒーを飲まないんでしたよね。ミルクティーでいいですか?」

「覚えて下さってたんですか、光栄です」

 そこにはきちんと整頓された事務器が、純白の内装を施された部屋に整然と並んでいる。何より一番の相違点は、若い女性スタッフが数名立ち働いている点だろうが、林はそれも面白く無かった。

「……何でうちにはあんなむさ苦しいのばっかしか居ないんだろう……」

「林?」

 ぶつぶつと呟いていた林は虚を突かれ、思わず背筋を伸ばした。

「申し訳有りません、小池さん」

 民権奪還軍で小池は永きに渡ってトップを走って来た。林とは同じ歳なのだが、元上官であり軍の先輩である小池には全く頭が上がらない。

「ん? 来て貰って悪かったって言ったんですが、何が済まないのですか?」

「いえ、なんでもありません。
 それでコマンダーからお聞き及びかと思います。例の網岡山の件なんですが……」

 とにかく、林は居心地の悪いこの場所から一刻でも早く去りたかった。用件を済ませてさっさと辞する作戦に出たのだ。


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