ロ包 ロ孝 2
「ボス。音力の奴ら、もう諦めたみたいです」
「………」
「はい、多分。奴らがどれだけ頑張っても3倍【北斗】には敵いませんよ」
「………」
「やだなぁ! お世辞言っても何も出ませんよ? ハハハ」
音力エージェントの追跡を振り切ったジェイとボスは、町外れの砂防壁に隠れて和んでいた。しかし2人から程近くの暗闇では、いぶし銀に光る物体が動いている。
ヴ……ヴ…… ウィィィン スチャッ
すると突然、彼らに向けられたサイレンサー付きの銃口が火を吹いた。
ピュンッ ブシュッ!
「!!……」
期せずして上がった血煙にジェイはうろたえたが、音が発せられた方向に身構えるとすかさず【皆】を放つ。
「畜生、ダッ! ダッ!」
ガンッ バキッ バチバチ! ヴィンッ……
まばゆい閃光が暗闇の2人を照らす。激しく火花を上げながら、ボスの肩を撃ち抜いたロボットは沈黙した。ただのスクラップと化したそれは、ボディと腕を半分吹き飛ばされ、小さくショートを繰り返している。
ビジッ ビッ ビッ
「賞金稼ぎの奴らが飼ってるヒットマンロボットだな?
畜生、こんな所で! ボス大丈夫……ですよね」
ジェイに言われた彼は、防塵マントをめくって傷口を見せた。
ソフトボール大に抉れた傷口から、鼓動に伴って大量の血液が噴き出している。普通なら思わず目をそむけたくなる光景だ。それに緊急事態でもある。応急処置を行わなければ、彼は出血多量で死んでしまうかも知れない。
だがジェイはそんな準備をするでもなく、ただじっと佇んで彼の事を見守っている。そればかりかその表情は、少し笑っているようにも見えた。