ロ包 ロ孝 2
 今回それが最新装備に入れ替わったという情報が入った為、林達に調査の任が与えられたのである。

「だいたい……大昔の映画じゃ無いんだから、換気ダクトの中を通るなんて面倒な作戦、考えんなよ」

 林は不満たっぷりに吐き捨てる。

「だからぁ……私は来ないと思ってたしぃ。でもこういうシチュエーションって、緊迫感が違うじゃない? 映像として」

「アホかっ! 何で見た目の……」

  ヴィィン ヴィィン「シッ」

 野木村が首から下げていたICチップレーダーが振動し、赤色LEDが明滅を繰り返している。

「……イ マ、 コ ノ シ タ ニ、 エ ー ジェ ン ト ガイ ル ワ ?……」

 声を出さずにそう囁く。

  カツッ カツッ カツッ

 その足音は次第に大きくなり、そして止まった。

「ん? なんだアレ」

 それは明らかに上を向いて発っせられた声である。今ダクトの中には林達、大人4人がパンパンに詰まっている。

 その重みに耐えかねて、外見からでも解る変化が起こっているのだろうか。

  カッカッカッカッ……

 走って立ち去った足音はまたすぐにガチャガチャ音を立てて戻ってきた。

  カシャッ ダンッ

 どうやら脚立のような物を立てている気配だ。

「……マ ズイ ワ ネ、 ドウ ス ル ?……」

 野木村はポケットから短銃をやっと引き出して、握り締めながら言う。

「……ギリ ギリ マ デヨ ウ ス ヲ ミ ヨ ウ ……」

  ガサガサッ

 ダクトと何かがこすれ合う乾いた音がする。「万事休すか!」そう林達は思った。

「わざわざこんな所にこしらえやがって! 一体どこから入って来たんだ? あーあ、フンだらけだ」

「……ホッ……」

 どうやらダクトに鳥が巣を作っていただけのようだ。しかしその後、男がダクトを掃除し終える迄、林達は息をするのも細心の注意を払って行わなければならなかった。

「……やっといなくなったな。じゃ、進むぞ? アレッ、あれアレェェ?」

 極度の緊張状態で同じ姿勢を取り続けていた為に林の身体はすっかり硬直し、動けなくなってしまったのだ。


< 57 / 258 >

この作品をシェア

pagetop