ロ包 ロ孝 2
「その前に触れないといけない。裏法は海鮮に渡るメンバーだけが特別にティーから修得を許された術で……」
「ああっ! 頭がこんがらがってくるよ。それに聞けば聞く程、言いようの無いモヤモヤがここら辺に!」
林は胃の周りを手のひらでさすりながら嘆く。
「まぁ黙って聞けって。その術の扱いは特別機密事項となっていた為に、音力内にも資料が残っていなかった。
そりゃそうだ。皆がみんな死んでしまうなんて、誰も予想してなかったんだから!」
海鮮から戻った唯一の生き残りである関は、余りの出来事を目の当たりにした事と多くの命を奪った罪の呵責から、エージェントを辞する権利を行使する。
それと同時に音力そのものも退職した。
音力は当然関から裏法のノウハウを授けて貰えると思っていたので、彼は再三再四に渡って術の伝授を求められた。
しかし関は、宗家であるティーがもうこの世に居ないものだと思っていたので、頑なに固辞をし続けた。
「彼は自分が術を伝えるべき器では無い事を解っていたんだな」
林は漸くそのモヤモヤが何だったのかに思い当たり、大きく身を乗り出して言った。
「それそれ、それだよ! マスターはまるで当事者みたいにして言うけど、なんでそんな事迄知ってるんだ?」
フッと切な気に微笑んだ石崎は、しかし大きく溜め息をつくと言った。
「ふぅぅっ。ナゼナニ坊やにゃ負けるよ、ホント。
あんただけには教えてやるが、これも特別機密事項だぜ?」
「ああ、サンキュ」
さらっと礼を口にする林に詰め寄る石崎。肌が触れ合いそうなその距離にたじろいでいる林へ、更に畳み掛ける。
「本当に有難いと思ってるのかね、あんたは!」
「マスター近いよ!
思ってる、思ってますとも。有り難うございます。とても助かります。お願いしますよ、マスター!」
遂に林は、カウンターに両手を付いてペコリと頭を下げた。
「じゃあ話すが……この店は元々、俺の婆ちゃんがやってた店だ。当時は『銀杏』って店だった。ギンコーはその英訳だ。俺の名前はコウだし、丁度良かった」
「ああっ! 頭がこんがらがってくるよ。それに聞けば聞く程、言いようの無いモヤモヤがここら辺に!」
林は胃の周りを手のひらでさすりながら嘆く。
「まぁ黙って聞けって。その術の扱いは特別機密事項となっていた為に、音力内にも資料が残っていなかった。
そりゃそうだ。皆がみんな死んでしまうなんて、誰も予想してなかったんだから!」
海鮮から戻った唯一の生き残りである関は、余りの出来事を目の当たりにした事と多くの命を奪った罪の呵責から、エージェントを辞する権利を行使する。
それと同時に音力そのものも退職した。
音力は当然関から裏法のノウハウを授けて貰えると思っていたので、彼は再三再四に渡って術の伝授を求められた。
しかし関は、宗家であるティーがもうこの世に居ないものだと思っていたので、頑なに固辞をし続けた。
「彼は自分が術を伝えるべき器では無い事を解っていたんだな」
林は漸くそのモヤモヤが何だったのかに思い当たり、大きく身を乗り出して言った。
「それそれ、それだよ! マスターはまるで当事者みたいにして言うけど、なんでそんな事迄知ってるんだ?」
フッと切な気に微笑んだ石崎は、しかし大きく溜め息をつくと言った。
「ふぅぅっ。ナゼナニ坊やにゃ負けるよ、ホント。
あんただけには教えてやるが、これも特別機密事項だぜ?」
「ああ、サンキュ」
さらっと礼を口にする林に詰め寄る石崎。肌が触れ合いそうなその距離にたじろいでいる林へ、更に畳み掛ける。
「本当に有難いと思ってるのかね、あんたは!」
「マスター近いよ!
思ってる、思ってますとも。有り難うございます。とても助かります。お願いしますよ、マスター!」
遂に林は、カウンターに両手を付いてペコリと頭を下げた。
「じゃあ話すが……この店は元々、俺の婆ちゃんがやってた店だ。当時は『銀杏』って店だった。ギンコーはその英訳だ。俺の名前はコウだし、丁度良かった」