ロ包 ロ孝 2
「ゥェッ、ウエエェェックショイ」
「クチュン」
「ビャァァックショイ、ホェェックソイ!」
「クシュン、クチュン」
その頃、ブルー·タスクの噂の主達は、まさにクシャミを連発していた。
「プレッシャーコントローラーがイカれたか? 埃が入ってきてるんじゃないのか?」
「俺はぁ、全然何ともないですけどぉ?」
お茶菓子をツマミながら山路。
「ナマジは鈍いんだよ。もっとセンシティブにならないとイカン。クシュン」
「お、俺も何ともないけどな。ふ、2人してか、風邪ですか?」
「室内空気の正常度は保たれているから、プレコンは大丈夫だと思うけど……鼻がむず痒いわ、よ、ヨェェックショイ!」
センサーをいち早くチェックした野木村は、更にクシャミを爆発させる。
「そうか。でも毎度思うんだけど、ノギちゃんのクシャミは勇ましいよなぁ。
机の上の物が飛ばないように押さえるのがやっとだぜ?」
「あら、失礼ねっ。私だってミッツィーみたいな乙女チックなクシャミがしたいのよ?」
「乙女チックは余計だ」
林はプイッと横を向いて拗ねる。
「嘘よぉ、機嫌直してよぉ」
「なぁんてな! ハハハハ」
「もうっ、ミッツィーったら。アハハハハ」
ブルー·タスクの事務所にはいつも笑いが絶えない。
これも林の人徳に依る所が大きいのだが、彼はどうも正当な評価を受けられない星の下に生まれ付いてしまったようで、いつも誤解されていた。
「じゃあそろそろ行ってくるな」
「はい、気を付けてネ」
カンカンカン……
キュルッ ビィィィンィィン
階段を降りた林は、今直ったばかりのサンドモービルにまたがると、地上へと続くスロープを登っていった。
──────
ビィィン ビィィィン
カンカンカンカンッカン
暫くして、せわしなく鉄骨階段を昇ってきた林がわめき散らす。
「まったくお前らときたら! 俺を殺す気か?」
「どうしたのよミッツイー」
野木村はそんな林を平然と往なしている。大沢も山路も「我関せず」だ。
「どうしたもこうしたも有るかっ。部屋着で地上へ出るところだったろうがっ!」
林はそのまま事務所を通り抜けると、1階のロッカールーム迄ドスドスと駆け上がった。