ロ包 ロ孝 2
「ボス! 聞いて下さいボス! 一大事です」
「………?」
ここはティーファミリーのアジト。ジェイが帰ってくるなりティーの部屋へ駆け込んできた。
「そりゃ慌てますよ! うちの若いモン達が襲われている件ですが、どうやら墨刀(スミトウ)ファミリーの残党が絡んでるみたいなんです」
調べ物をしていたらしいティーは、やっと手元の書籍から目を上げる。
「………?」
ジェイはマントを脱ぎながら、取る物も取り敢えず話し始めた。
「そうです、あの墨刀ファミリーです。まだ生き残りが居たみたいなんですよ」
防塵インナーを脱いでTシャツ1枚になったジェイは、そのなだらかなボディラインを隠しもせずに続けた。
「根絶やしにしたつもりだったのに奴ら……」
「……! ……?」
その言葉を断ち切ってティーが驚きの【闘】を放つ。
「ええっ? またこんな非常時に何ですか! 俺は男だから、おっぱいなんか要らないんですって!
ボスぅ、真面目に聞いて下さいよぉ!」
近頃ジェイの成長はめざましく、どんどん女性らしい身体つきになっていたが、彼女はそれがいたたまれなかった。
ティーに「随分胸が大きくなったんじゃないか?」と聞かれ、ジェイは自分が『女』であるとまた、思い知らされていたのだ。
「………。………」
「嫌です! それに……俺の他にNo.2が勤まる奴が居ると思います?」
「……、………」
「そうでしょう、だったらそんな事言わないで下さいよっ」
最近繰り返されているこの会話もジェイには切なかった。組織からの『引退』……それはティーとの別離を意味している。
彼女は彼と離れたく無かった。ティーには、殺されてしまった肉親以上の繋がりを感じていたからである。
しかしティーは、彼女にまっとうな女性としての幸せを掴んで欲しいと、常々願っていたのだ。