ロ包 ロ孝 2
「ねぇ、ナマジぃ。私が陣頭指揮を取るって、有りなのかしらぁ?」
清水の命に依ってレッド・ネイル小池との打ち合わせを終えた野木村は、事務所に帰ってくると途端にそうこぼした。
「林さんが居ないブルー・タスクなんてぇ、それこそぉ牙(タスク)を抜かれたようなもんですよねぇぇ」
暗に「野木村だけでは何の役にも立たない」という嫌味も込めた山路だったが、残念ながらその真意は伝わっていなかった。
「そうね。ミッツィーというタスク(牙)が無いんじゃ、私達はただのブルーになっちゃうわ? どうりで気分が晴れない訳よ!」
今更愚痴を言っても仕方ない事は彼らも解っていた。ミッションは既に動き出しているのだから。
「で、でも、野木村さんは林さんの副官なんだからこ、こういう時はやはり……」
「それは解ってるのよ? でも女房がいきなり大黒柱になれる?」
しかし林の抜けた穴はあまりにも大きい。野木村は自分の器を測るかのように続けた。
「バッテリーを組んでいた豪腕ピッチャーが倒れたから、キャッチャーの私が代わって球を投げようっていうのと同じ事よ? これは!」
「たた、喩えとしては、じ上出来ですが、そ、それでもやらなきゃいけないでしょう」