ロ包 ロ孝 2
「でもね、元来デスクワークが天職の私がヨ?
 地下に潜ったり、トラップをかいくぐったり、果てはメインCPUに力づくで侵入!
 なんて野蛮な事を、ミッツィー無しでやらなきゃイケナイのよ?」

「でもぉ、林さんが居ればぁ、なんだかんだ文句を言いながらでもやっちゃうじゃないですかぁ!」

 絶対的な林のバイタリティーと超絶的な野木村の頭脳。そう、野木村と林が組めば鬼に金棒なのだ。

それを完璧にメンバーがアシストする。ブルー・タスクの今迄はそうだった。

「それはそこに愛が有ったからじゃない! ホントに乙女心が解ってないわねっ!」

 そう言い放つと野木村は、むくれてPCの前に座った。

「俺はぁ乙女心なんか解りたくもないですけどねぇ」

 山路はそっぽを向いて耳をほじりながら漏らした。

「なによ! ポペジ! ひとの話は真剣に聞きなさいよ!」

 言われた山路はすぐさま返す。

「ポペジって誰ですかぁ! 最早『ジ』しか合ってないじゃないですかぁ!」

 そして事務所に暫し、重々しい静寂が訪れた。

「ああっ、嫌だわぁ! この『間(マ)』ったら!
 まぁグダグダ言ってても仕方ないし、やるしかないわね!」

 どうやら散々愚痴ったお陰で、やっと野木村にもスイッチが入ったようだ。


──────


「ええっ? ひ、ひたすら岐阜迄ツ、ツーリングですか?! こ、こりゃ完璧にみんな痔になりますね」

 野木村のプランを見て大沢が溜め息をついた。

「そりゃ飛行機を使うのが一番いいわよ。じゃ、貴方が1機調達して来てくれる? 垂直離着陸とステルス機能付きのヤツをね!」

「そそ、そんな財力もツテも有るわ、訳ないじゃないですか!」

「私にだって無いわよ。だからロングロングツーリングしかないでしょ? 意外と楽しいかも知れないわよ?」

 野木村は満面の笑みを浮かべて言い放った。

 目指す岐阜には民権奪還軍の支部が無い。電車を使って近県から乗り継ぐにしても、使い慣れない他人の道具を拝借してミッションを行うのは危険だという事で、この強行軍となっていた。


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