乱反射するプリズム
「あ、えっと…!」

なぜか慌ててしまう、ただ話しかけられただけなのに。どうしよう、男性は目が点としている。そりゃそうだ。訳もなくこんな慌てていたら、私だってきっと驚く

男性と目が合う、俗に言う草食系でイケメンに分類されるであろう彼はくすくすと笑った。なんだか恥ずかしくなる。どうやら私は急激に乙女になってしまったようだ。顔が熱くなってまた下を向いた

「あ、す、すみません…! お気を悪くしてしまいましたか…?」

次は男性の方が慌てていた、ケーキの箱片手にあたふた。それを見て小さく笑ってしまう。男性は、少し安堵したように微笑んだ。なんか不思議な感覚がする。

ケーキの、箱…。なにか忘れてるような…?

大事なようなどうでもいいようななにかを忘れている気がする
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