乱反射するプリズム
冷たい、君の手
君はどこに行ってしまうの。軽く伏せた瞳からは何も伝わらない。君の長くサラサラな髪を指に絡める。君は何も言わない

君の細くて柔らかい猫のような髪はいともたやすく、僕の指に絡みつき、締め付ける。緩くしたりキツくしたりして、手遊びをする

絡みついた時はキツく締め付けていたのに、今では緩くて今にも指から落ちてしまいそう。それを見て、まるで、二人みたいだね。なんて呟いた

薄めの唇が小さく震えて、開く。ごめんなさいと声を漏らす。何回かまばたきをしていたせいか、長い睫毛が少し濡れていた。僕が指を髪から離して、頭を撫でた

君は僕を見て、悲しげに笑った。僕も笑って、最後のキスをした。君の手が僕の頬に触れる。氷みたいに冷たい手。もうこれから僕がその手を暖めてやることもできない
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