空を翔びたい
「……ねぇ、ポタ男?」
まだ、知らなくていいよ。
紅葉の悲しむ顔なんて、
見たくないから。
「あたしの足、なんかおかしいの」
紅葉は自分の足を軽く叩きながら、不思議そうにそう言った。
『紅葉の足は動かない』
『紅葉はもう走れない』
紅葉の母ちゃんが壊れたように泣きながら、俺にそう告げのを思い出して、肩が揺れた。
「ほら、触ってみて?」
そう言って、俺の手を掴み自分の足を撫でさせる。
「感覚がね、ないの」
───紅葉。
なんで、紅葉なんだ。