空を翔びたい







「空だって、翔べるよ」


「……え」


恐ろしいほどに
いつもと変わらない、
紅葉の笑った顔。



「あたしの背中には翼だって生えてるよ」



ほらほら、って
何もない背中を指さして、
彼女は楽しそうに
………笑った。




「透明の翼」



なにがそんなに面白い?


なにがそんなに楽しい?



ちゃんと分かってんのかよ。
お前、もう走れないんだぞ?



なのになんで……


笑ってんだよ。






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