空を翔びたい
そう言って紅葉は両手を広げた。
「やめろ!やめろ!やめろやめろやめろやめろ、やめてくれ!」
俺は泣き散らした。
紅葉は振り返らない。
俺に顔を見せない。
本気だ。
止めないと。
俺は、フェンスを掴む手に力を込め、足を駆ける。
その瞬間、紅葉の鋭い声が飛んだ。
「来ないでっ!!」
そして、こう言った。
「これがあたしの夢なの」
そう言って振り返った紅葉の顔は涙の跡いっぱいの笑顔だった。