空を翔びたい




俺は、そっと紅葉を抱き寄せようと手を伸ばすと、その手を思いっきり跳ね返された。


そして、見たこともない鋭い眼差しで、俺を睨む。




「バカじゃないの!バカじゃないの!」



泣きながら、苦しい声でそう叫ぶと、何度も何度も、自分の拳で、動かなくなった足を殴る。



………何度も、何度も。



「やめろ!紅葉!」


「離して!離してよ!」



固く握られたその拳を掴んでは何度も振り払われた。





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