空を翔びたい




やめろ、やめてくれ。



「頼むから、やめて」



見ているこっちが、
痛いんだよ……


俺は、掴んだ腕をそのまま近付けて、紅葉を抱きしめた。
暴れようが、殴られようが、
どんなに抵抗されたって、
離さない。絶対に。絶対だ。







「……あんた、頭可笑しくなっちゃったんじゃないの?」



静かになった紅葉がポツリと漏らす、弱い言葉。



「こんな体なのに…好き、だなんて…どうかしてるわよ」







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