150年後のラブレター
「何それ!!文明機器は好きじゃないとかってやつ!?」
「え・・・・いや、その・・・・」
言えるはずがない。
江戸時代の人だなんて。
だけど、久しぶりに思い出したのか、睦月は嬉しそうにゆっくりと口を開いた。
「でもね、優しい人だったよ。毎回丁寧に返事くれるし、面白くて、文通してるのが楽しかったな・・・」
熱くて飲めなかったお茶をやっと口に入れることができ、満足そうに湯呑みをテーブルの上に置いた。
「でもね、あたしが高校受験の前、三ヶ月くらい文通止めちゃってて・・・久しぶりに書いたんだけど、ちゃんと待っててくれて・・・返事かえってきたんだよ。本当優しい人だった」
幸せそうにあらぬ方向を見つめる睦月に、二人は不思議な顔をしてみせた。
「何か、睦月が自分のこと話すのって珍しいね」
「えっ!?そ、そんなことないって!!・・・多分」
そう言われ、どうして言いか分からなくなった睦月は、とりあえず再びお茶に手をつけた。
「もっと聞きたいです!!睦月さんの話!!」
「べ、別にもうないけどっ・・・」