Tea Party!
ぴきぴきと引きつる顔を浮かべながら、猫が歩む反対の道を歩こうと方向を転換させると、また一鳴き。

『にゃあん』

それはまるで、此方を向くようにと示唆する喚起のような鳴き声のようで。
つられてもう一度猫に視線を戻す。

「…もしかしてついてこい、ってことか?」

しゃがんで、頭に触れると今度は大人しくされるがままに目を細める猫。
「にゃあーん」だなんて、可愛らしく鳴き出すもんだからちょっときゅんとしてしまう。
そんな猫の首輪代わりなのだろうか、焦げ茶と薄い桃色で彩られたリボンを見つけ何やら先の方に名前が書かれている。

「えー…っと、scarlet…。
お前ってスカーレットて名前なんや。
て事は飼い猫か」

名前を呼ぶと肯定するように、猫もといスカーレットはにゃー!と声を上げて返事をする。
そしてそんな中、もう一度鳴き声を出すスカーレット。

『にゃあーー』

「…しかしながら、凄い名前やねお前。

…もっかい聞くけど、それはついてこいって事か?」
『……にゃあーんにゃあーん』

2鳴き。猫に人語など通じるわけなんかない。
けれど俺には"そうだよ"って言っているように聞こえた。
すっとそれの手元から離れ、優雅に尻尾を揺らしながら元来た道を一歩、また一歩と進む不思議な不思議な猫。

「宛てもないし、ついてってみるか。こいつ毛並いいから絶対血統種やろうし。
どんな金持ちに飼われてるんやろうなおまえ。」
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