好きだ好きだ、大好きだ。
ここは、私が住んでいる住宅街の中にある、寂れた“佐野スポーツパーク”――という名の不思議空間。
六箇所のバッティングマシーンとストラックアウトが1つ。それに2つのオートテニス。
あとは室内に2台の卓球台と、オシャレすぎてここには少し不似合いなビリヤード台が2台ある、この空間。
まぁ、メインはやっぱりバッティングマシーンだから、きっと部類としては“バッティングセンター”になるんだと思う。
従業員はもうずぐ70歳になる社長の佐野さんと、30代の山本さんという人がいるらしい。
“らしい”というのは、私と入れ替わりでバイトに入っている山本さんに、これまで私は一度も会った事がないから。
佐野さんの話によると、オタクさんらしい山本さんは、いつもイタ車に乗って颯爽と現れて……
バイト中も、よくわからないアニメのDVDを小型ゲーム機で見ているらしい。
取りあえず、会えたとしてもあんまり仲良くなれそうにない気はしている。