THE FIRST STEP
学校に近づくにつれて
見知った顔がどんどん増えてくる。
私の顔を見て友達とこそこそ話す人。
まったく無関心に見向きもしない人。
露骨にからかってくる人。
朝から不躾な視線や会話に対応するだけで
正門に着くころにはぐったりと疲れてしまった。
下駄箱でローファーから上履きに履き替える。
その時、私の横に大きな影ができた。
どうせまたからかわれるんだろう。
なるべくうつむいて視界にその人をいれないようにする。
「浅海」
その瞬間、私は凍てついたかのように動くことができなくなった。