THE FIRST STEP
「俺だってまだ過去なんかじゃない」
「え?」
「俺浅海の趣味とかわかんないから何話していいかさっぱりだったし、告白した癖にデートの一つも誘えないほど気小さかったし」
突然彼が堰を切ったかのように話しだした。
「いつもいつも浅海が話しかけてくれたのに満足に返事もできなかったし、気遣わせてばっかだったし。
挙げ句に自然消滅したよな」
彼は私を真っ直ぐに見つめた。
「もう一度、やり直せないか?」