THE FIRST STEP
「私でいいの……?」
「だから浅海じゃなきゃ駄目なんだって」
いい加減気づいてよ、と彼は笑った。
「浅海、俺と付き合ってくれる?」
心は決まっている。
「はい」
その瞬間、ぎゅっと抱きしめられた。
「良かった。断られたらどうしようかと思った」
ははは、と笑う彼の動悸は異常に早い。
私は彼の胸にそっと顔を寄せ、背中に腕をまわした。
「そんなわけないよ。藤田くんこそ私のこと、とっくに忘れてると思ってた」
「それ」
「え?」
「その藤田くんって呼び方」