クリスマス恋語
No.8 holy engage
「ホント、不思議だよね。あの子たちの歌。バラバラに歌ってるようで、でも気持ちは一つなんだよね」
え…っ?
聞こえるはずのない、彼女の声が聞こえたような気がした。
「あの子たちの魅力ってさ、歌が上手いってだけじゃないのよね。
普通、〝歌〟って綺麗な音と声で紡がれるものじゃん?
でも守風と撫子(ナデシコ)、あの二人の歌には全部入ってるんだよね。人間の感情ってやつが。
きれいなとこも汚いとこも、嬉しさ、悲しみ、痛み、苦しみ、楽しい気持ちも。
だからこそこんなにも身体の底まで響き渡るんだと思うの」
ねぇ、桂樹。
あなたはどう思う――?