その仮面、剥がさせていただきます!
パチリと目を開けると部屋の中は薄っすらと明るくて、あたしは布団の中で丸まった毛布に抱きついていた。

ん?

確かさっきまでリクと……

ベッドから起き上がるとそこはやっぱりリクの部屋だけど本人の姿はない。

うわっ。あれはやっぱ夢だった……

リアルな夢にあたしは項垂れた。

妄想もあれだけ非現実的だと笑えるわ。

自分に呆れ返り髪をクシャリと掻き上げた。


「リツ起きてる?朝ごはん食べるでしょ?」

ドアをノックしたのと同時ぐらいにリクの可愛い顔が覗く。

「ひゃ」

思い出していた矢先リクの顔をみたものだから、恥ずかしくて顔を布団で隠し、ドアの方を見るためにそっと布団を下す。

リクはハテナって顔をして、それからこっちを見て微笑んで言った。

「先に顔、洗っておいで」


そうよ。あれは夢なんだから恥ずかしがってたって意味ないじゃない?

キッチンに戻ったリクを追いかけるように部屋から出て、リクがこっちを向いていないのを確認すると素早く洗面所に駆け込む。

はあ……

リクのこと襲いたいとか思ってたからあんな夢見ちゃったのね。

自己嫌悪に浸り、気合いを入れるために冷たい水で顔を洗うと鏡に映った自分を見た。

リクにキスされた唇……

リクにキスされた首筋……

リクにキスされた……

目元のあるホクロを触る。

このホクロにキスしたんだよね。


って、あれは夢だったんだからっ。

バシャバシャと水を飛び散らせてまた顔を洗う。


あたし、このホクロ大嫌い。

目の下にホクロがあるのは泣き虫の証拠だって、子供のころよく男の子にからかわれた。

だから絶対に泣いてやるもんかってあの時そう決めたんだ。

なのに……

あたしはリクの前で泣いてしまった。

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