その仮面、剥がさせていただきます!
<リツ。今家にいる?>

電話の相手はリクからで、先生に聞こえないようあたしは自室に入った。

「うん。いるよ」

今日は一日中一歩も外に出なかった。

そう考えると、あたしの春休みっていったい……

<そう……昼間行ったときいなかったから、どこか出かけてると思ってたよ>

「あれ、リクだったの?あたしはてっきり拓にぃだって思って」

本当は眠りこけてたんだけどね。

<もうご飯食べた?>

「うん。今日はなんとか」

<そっか……>

リク心配してくれてたのかな?とちょっぴり顔を綻ばせているとあたしの手からするりとケータイが奪われた。

「お。海道か?……そうだ……まあ。いろいろとあってな……」

奪ったケータイで澤田先生が何食わぬ顔をしてリクと話しを続けている。

「ちょっとセンセーあたしのケータイ返して下さい!」

先生からケータイを奪い返そうとするけど、サラリと交わされる。

「ん?別に疾しいことなんかないぞ?家庭訪問に来ただけだ。海道こそ、いくら付き合ってるっていってもな、相手は上原だ。心して掛からないと痛い目にあうぞ~」

「何の話しですか!ちょっといい加減返して」

先生の手に掴みかかった拍子にバランスを崩したあたしが倒れるのを先生が腕で支えてくれた。

でも、支えきれなくて二人が重なるように床に倒れてしまった。

「っつー!ったくセンセーが子供みたいなことするから……」

「上原がタックルしてくるからだろ……?」

「どーでもいいですけど、あたしの上からどいてくれます?重いんですけど」

「…………」

上にいる先生が退けようとあたしから目を離したとき、動作が止まって固まっている。

「センセー?」

「上原……意外に胸でかいのな」

「……・Д・……」

あたしは奇声を発して先生を思い切り蹴り飛ばした。

部屋のそこらへんに散らばっている物を片っ端から投げつける。

「悪い!けど、これは事故だ!」

「こんのぉ!エロ教師~!!」

あたしが投げつける物を手で払い避けながら、必死に弁明している。

「近所迷惑だから暴れるなっ。分かったから。センセーが悪かった」

それでも収まることのないあたしの怒り。

「んの~そういう目的でここにきたんだ!?料理教えてくれてちょっとはいい先生だって思ったのにぃ!このエロエロ教師!!」

掴んでは投げていたあたしの両手を先生に取り押さえられ、それでも暴れるあたしはバランスを崩すと先生と一緒にベッドに倒れてしまった。

この体制ってヤバくない?

そう思った時、聞き覚えのある声が傍で聞こえた。


「何をしてるのかな?」

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