その仮面、剥がさせていただきます!
あたしの唐突な質問に先生は面食らっているようだったけど、長い廊下をダッシュしてきた意気込みを分かってくれたようで真剣な顔になる。

「みんながみんなそうだとは限らないが……」

「……はい」

「大概の男は……」

「……はい」



「できる!」




センセーに聞かなくったって分かりきってた事なのに……やっぱりそうだったのねとガクンと落ち込む。

あたしのことが如何にもキライって顔した春樹でさえあたしにキスしたぐらいだもんな……


自分の部屋の玄関を開け、リビングに入ると、リクがあたしの部屋から出てきたところだった。

「部屋キレイになって良かったね。先生と何話してたの?」

「ううん。お礼言ってただけ。リクも片付け手伝ってくれてありがとうね」

三人がかりでやっとキレイになった部屋を見て、つくづく自分の不甲斐なさを実感する。

「リツ」

整頓された部屋を眺めているあたしの手のひらにリクが何かを握らせる。

「何?」

それが何かを確認する前にリクは早口でこう言った。

「朝は適当な時間に来て。それで、お昼はリツが作ったカレーを食べようね」

言うだけ言うと、リクは隣の部屋に帰って行ってしまった。

何かを握った右手を広げると、そこにあったのは自分が持っているのと同じ種類のカギ……

「あたしの?」

いや。違う。

これリクの部屋のカギ?

「これって……」

合鍵……?

―――朝は適当な時間に来て……

「リクの部屋のカギ……」




リクのことが益々分からなくなる。

普通、女友達に合鍵を渡すものなのだろうか?

う~ん。

テーブルの上に置いた鍵と睨めっこしながらあたしは考えていた。

勘違いだったらとてつもなく恥ずかしいけど……リクってあたしのことが好きなの?

それとも、またからかってるの?
< 111 / 256 >

この作品をシェア

pagetop